4限目:醸造学 「醸造学」奇跡に酔いしれる 宇都宮・さくらクラフト旅

おとなのSTUDY TRIP in とちぎ

栃木県を舞台にした“おとなの学び旅”、四限目は「醸造学」。早春の小山~宇都宮~さくら市を巡ります。醸造とは、つくるものではない。環境を整え、待ち、委ね、見守るもの。日本酒、ウイスキー、ビール、ワイン─原料も工程も違うけれど、すべてに共通する主役は“目に見えないもの”。それは酵母であり、微生物であり、時間そのもの。それらの積み重なりが、私たちが奇跡と呼ぶ味わいを生み出します。味わうだけでなく、作り手の醸造哲学に触れる、極上のクラフト旅へ。

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1日目

spot 1 西堀酒造株式会社にしぼりしゅぞうかぶしきがいしゃ

世界も注目!酒づくりの未来はここにある

西堀酒造の創業は1872年。蔵に足を踏み入れると、まず目に入るのは大切に祀られた井戸。酒造りにおいて、水がいかに重要な存在であるかを雄弁に物語ります。日本酒の原料は、水・米・麹のみ。日光連山を源とし、栃木の大地を巡ってきた清らかな伏流水が、西堀酒造の酒の骨格を形づくります。今回の旅のナビゲーターである西堀哲也氏は、6代目当主。伝統を深く理解し、守るべき本質を守りながらも、常識にとらわれない挑戦を続けるイノベーターです。長年、職人の勘と経験に委ねられてきた「発酵」という神秘の領域に対し、透明タンクを開発し、そのプロセスを“見える化”。さらにその挑戦は、カテゴリの枠を軽々と越えていきます。日本酒の酒蔵だからこそ生み出せる、日本ならではの蒸留酒─オールジャパンのウイスキーやウォッカの開発へ。不可能と思われてきたことを、現場の知恵と情熱で可能に変えていく哲也氏。挑戦を続けるその蔵は、まさに酒づくりの未来を生み出す“天才のラボラトリー”です。

Study Point

2025年の一大ニュースは、『日光杉和樽熟成ジャパニーズウイスキー 哲/TETSU』をローマ教皇庁へ献上できたことです。駐日ローマ教皇庁大使フランシスコ・エスカランテ・モリーナ大司教が蔵を訪ねてくださった瞬間は、胸が熱くなりました。日光の水と日本の技、そして祈りを込めた一本が、国や宗教を越えて届いたという事実に、これまでの挑戦が報われた思いがしました。

西堀酒造には、長屋門・仕込蔵・瓶詰場・煙突の、四つの国登録有形文化財があり、どれも酒蔵見学の際に見ることができます。

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spot 2 まちの駅 思季彩館まちのえき しきさいかん

地元食材とクラフトビールで、小山を味わう

西堀酒造を後にして向かったのが、同じ小山市にあるこちら。地元密着型のスポットでボリューム満点なランチをいただきます。新鮮な小山産の野菜や食材をふんだんに使ったランチメニューは、しっかり食べたいサラリーマンにも人気。観光客向けというより、地元の日常に根ざした味わいが心地いい。お供は、小山発の 808ブルワリー のクラフトビール。ラインナップは主に3種類で、地元産の米や大麦、ハトムギなどを使い、軽やかなものからしっかり苦味のあるタイプまで揃っています。同じ小山市というご縁から、西堀酒造と808ブルワリーのコラボイベントが開催されることもあり、醸造文化の横のつながりを感じられるのも面白いところ。ランチでお腹を満たしたら、新鮮な野菜やクラフトビールをお土産にするのもおすすめです。小山という土地の魅力を、気負わず味わえる立ち寄り先です。

ランチの提供時間は、11:30〜13:00。比較的短めなので気を付けて。

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spot 3 舘河屋酒店たてかわやさけてん

ジャパニーズウイスキー戦国時代を体感

舘河屋酒店は、創業130年以上の老舗酒販店。その裏手には、角打ち感覚で一杯を楽しめるテイスティングスペース「Tasting space TATEKAWAYA」があります。チケット制で少量ずつ試せるため、気になるウイスキーを気軽に飲み比べられるのが魅力。この場所を切り盛りするのが、“ウイスキー界の仕掛け人”として知られる小林一匡氏。2025年には北関東最大級のウイスキーイベントを主宰し、全国からマニアが集まりました。店内には、ジャパニーズウイスキー100種以上、海外含むウイスキー500種以上、ジン・ラムを含めると600種類以上がズラリと並び、もちろん西堀酒造のものも。クラフトウイスキー蒸留所や銘柄が次々と生まれる、今のジャパニーズウイスキー界はまさに戦国時代。人と情報をつなぐ小林氏と、造り手として挑戦を続ける西堀氏。この二人の関係性が、ジャパニーズウイスキーの盛り上がりの一端を担っていると言っても過言ではありません。

Study Point

造り手の立場からすると、舘河屋酒店さんの存在は本当にありがたいですね。テイスティングスペースで実際に味わってもらえるだけでなく、酒店のほうでは少量から購入できる仕組みも整っている。飲み手の方が無理なく、自分のペースでウイスキーと向き合える環境があるのは、メーカーにとっても大きな価値だと感じています。そうした丁寧な場づくりが、新しい酒との出会いを自然に生んでいるのだと思います。

セミナーやイベントの情報は、インスタグラムをチェックしてみて。

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spot 4 嶋田屋酒店 宮みらい店しまだやさけてん みやみらいてん

実地で学ぶ、日本酒角打ちテイスティング

ウイスキーの余韻を連れて日本酒へ、角打ちのはしごです。立ち寄ったのは、嶋田屋酒店 宮みらい店。1912年創業の老舗が、2022年に「ウツノミヤテラス」に開いたこちら。コイン式のセルフサーバーで、栃木県内ほぼすべての蔵元 全28種類のテイスティングができます。もちろん西堀酒造の「門外不出」や、後述の「仙禽」もラインナップ。おちょこ一杯300円(カップ)とリーズナブルで、飲み比べが捗ります。温度管理や回転を含め、老舗の目利きが効いた“いい状態”で出てくるのもうれしいところ。テーブルやカウンターは、語らうにも、黙って味に集中するにもちょうどいい距離感。香り、甘み、酸、キレ——一杯ごとに輪郭を確かめるのは、まさに実地の醸造学。ただし、飲み過ぎには御注意を。

駅に隣接したロケーションなので、乗り換えの待ち時間や出発前にふらりと寄れます。

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spot 5 カンデオホテルズ 宇都宮かんでおほてるず うつのみや

五感をリセットする、極上のアーバンリトリート

酒蔵と角打ちをめぐったあとは、その余韻を連れて宿へ。味や学びのインプットを、静かな時間のなかで解いていくリトリートが始まります。JR宇都宮駅東口に直結だからアクセスは抜群。館内には落ち着いた空気が流れています。客室は間接照明のみで、木の質感が心地いい。音やBGMまで計算され、自然と力が抜けていきます。お楽しみは最上階のスカイスパとサウナ。80〜90度設定のサウナにオートロウリュ、夜景や男体山を望む景色が、学びと酔いをやさしく身体に戻してくれます。ロビーで買えるご当地のおつまみで軽く一杯。“唯一無二の4つ星ホテル”でしっかり整えたら、翌日もまた醸造学の学び旅へ。ここで英気を養い、次の一杯へと向かいます。
※飲酒後はサウナの利用を避けてください。

Study Point

出張やイベント、会議で全国を飛び回ることが多いので、ホテル選びはけっこう重要なんです。その点こちらは駅直結で動きやすいのに、しっかりリセットできるのがいいですね。最上階のスパやサウナで一度身体を整えると、頭もすっと切り替わる。単なる宿泊ではなく、次の仕事や酒造りに向かうための余白をつくってくれる場所だと感じています。

ご当地メニューも取り入れた、リッチな朝食ビュッフェが人気です。

2日目

spot 6 株式会社せんきんかぶしきがいしゃせんきん

醸造の原点へ立ち戻る、前衛的クラシック

二日目の最初に訪れたのは、200年以上の歴史を重ねてきたこちらの酒蔵。酒造りを統括する薄井真人氏のガイドで、特別に蔵の中を御案内していただきました。朝の澄んだ空気のなか、微生物が静かに働く気配が満ちています。仙禽が掲げるのは「江戸返り」。江戸時代には主流だった、乳酸菌を育てながら酒母(しゅぼ)を造る製造法である生酛(きもと)を軸に、人が制御しすぎず、米・水・土地・環境がどう酒の輪郭を形づくるのかを見極めていく酒造りを行っています。近代の歴史的背景とともに丁寧に語られるそのプロセスは、醸造学を机上ではなく現場で体感する、生きた学びの時間でした。『仙禽』とは仙人に仕える鶴の意味。鶴を思わせるロゴ、隅々まで整えられたミニマムな美意識。本質を突き詰めたクラシックとは、前衛的でクールなのです。2024年にユネスコの無形文化遺産に登録された「伝統的酒造り」の歴史を色濃く感じられる日本酒「仙禽」をぜひお楽しみください。
※今回撮影のため特別に中に入れさせていただきました。

Study Point

薄井さんの酒造りに触れて、改めて学ばせていただくことが多かったです。蔵の中を包み隠さず見せていただいて、日本酒とどう向き合ってきたのか、その積み重ねを間近で感じることができました。自分たちの酒造りを振り返る、いい機会になりましたし、背筋が伸びる思いでした。同じ栃木で酒を造る者として、こうした学びを持ち帰りながら、一緒に栃木の日本酒を盛り上げていけたらと思います。

こちらでは、酒蔵見学と酒の販売はしていません。商品を買いたい場合は、近くの滝澤酒店や道の駅きつれがわなどの取扱い酒店で購入できます。

spot 7 ラーメン専門店 竹末本店らーめんせんもんてん たけすえほんてん

醤油ラーメンが教えてくれる、発酵文化の奥行き

酒蔵見学のあとに立ち寄ったのはこちら。支店やのれん分けなど、県内外に複数の系列店を展開している竹末グループの本店。冷えた身体を温めようと、一番人気の「二代目中華そば」をオーダーしました。醤油ベースの濃厚な鶏白湯スープに、細ストレート麺がよく絡む。厚切りチャーシューは食べ応えがあり、メンマ、カイワレ、刻み玉ねぎのバランスもいい。一見、ラーメンは番外編に思えるけれど、実はかなり本筋。醤油は発酵の結晶であり、日本の食文化の基礎。スープの輪郭、香りの立ち上がり、余韻の切れを追う感覚は、酒のテイスティングとよく似ています。エネルギーをチャージしながら、舌と感覚を整える。そんな意味でも、醸造学の旅にふさわしいランチでした。

Study Point

下野市にある竹末さんには以前お邪魔したことがあって、本店にはいつか来てみたいと思っていました。実際に足を運んでみると、やっぱり“始まりの場所”だと感じますね。醤油づくりは発酵という点で酒づくりとも通じるところが多くて、香りの立ち上がりや味の輪郭の取り方など、つい職業目線で見てしまいました。昼のラーメンも素晴らしかったですが、夜は『夜刀(やと)』としてまた雰囲気もメニューもがらっと変わると聞いています。次はぜひ、夜の一杯を味わいに来てみたいですね。

駐車場は斜め向かいにある協賛店舗共同のお買物駐車場が便利。

spot 8 セブンハンドレッドクラブ

名門コースで体感する、フットゴルフの学び

ラーメンでお腹と体力をしっかり満たしたあとは、身体を動かす時間へ。名門ゴルフコースとして知られるこちらですが、体験したのはフットゴルフ。フットゴルフとは、サッカーボールを蹴ってゴルフのようにホールを目指すスポーツ。今、キャプテン翼世代を中心に、人気がでてきているそうです。走り回るだけではなく、距離感や地形、風を読みながら一打ごとに判断する点が面白い。9ホールで約1時間半。食後に身体を動かしながら、感覚と集中力を取り戻すにはちょうどいいボリュームです。ここでは世界大会も開催されており、遊びとして楽しみながら、競技としての奥行きにも触れられます。食べて、考えて、動く。名門のフィールドがあるからこそ成立する、極上のひとときでした。

運が良ければ、フットゴルフ日本代表の 平野靖之 選手に会えるかも。

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spot 9 Hinoe Wineryひのえ わいなりー

発酵の気配を感じる、小さなワイナリーの醸造哲学

最後に訪れたのは、宇都宮市新里町丙の里山に佇むこちら。のどかな風景のなか、自分たちでぶどうを育て、ワイン造りを行っている、宇都宮唯一のワイナリーです。都内のIT企業に勤めていた吉村潔氏が地域に貢献がしたいと地元に戻り、新規就農から挑戦したのが始まり。ワインの面白さは、材料づくりから完成まで、すべての工程に関われること。とはいえ、人間は環境を整えてアシストするだけで、主役はあくまでぶどうそのもの。「発酵しているときは、酵母がぶどうの糖を食べ、フツフツと息づく音が聞こえてくる」と慎子さん。人と微生物が静かに呼吸を合わせる、その姿こそが究極の醸造学なのかもしれません。 酒蔵、角打ち、そしてワイナリー。学びを重ねてきたこの旅は、ここで静かにひと区切り。学びの余韻は酔いのように静かに回り、知識へと昇華されていきます。旅の後の一杯は、きっともっと深い味わいになることでしょう。

Study Point

ワインは歴史も深く、きちんと向き合うには知識が必要な世界だと感じています。正直なところ、私自身もまだ知らないことばかりです。だからこそ、ぶどう栽培からワイン造りまで一貫して取り組まれている姿には、素直にすごいと感じます。日本酒では、酒蔵が必ずしも米づくりまで担うわけではありませんが、ワインは畑の段階からすでに酒造りが始まっている。とはいえ、醸造の主役が酵母であるという考え方は、ワインも日本酒も同じです。人は環境を整え、その働きを理解しながら見守るだけ。その積み重ねこそが、醸造学の面白さであり、本質なのだと思います。

椎茸のデュクセルという瓶詰のペーストが人気。バゲットやパスタのお供にぴったり。

  • 1限目:日本史学
  • 2限目:民藝学
  • 3限目:デザイン学
  • 4限目:醸造学