文化観光とは

2024年3月22日

文化観光とは

 「文化観光」という言葉を耳にしたことはありませんか?近年注目されているテーマ観光の一つで、「文化についての理解を深めることを目的とする観光」のことです。

 そんなことを言いますと、「普通の観光と何が違うの?」「修学旅行みたいなもの?」といった反応が返ってくることが多いのですが・・・まさにおっしゃるとおり、訪問先の文化に触れるのは至極当然のことですので、どのような旅行スタイルでも概ね該当する、極めて範囲の広い概念です。
 その一方、例えば日光東照宮を訪問した際、絢爛豪華な建造物群に圧倒されることは間違いないですが、その建立の経緯や背景、日本史における位置づけ、数々の建造物や彫刻の持つ意味、隣接する二荒山神社や輪王寺との関係性・・・そういった外観を眺めるだけでは分からない歴史文化の奥深さに触れることができれば、その旅はより一層意味のあるものになりますし、事実、世界的に「より深い文化体験」を求めるニーズの高まりが確認されています。

 そこで、「文化についての理解を深めることを目的とする観光客」である皆様に対し、詳細かつ分かりやすい解説、関連文化資源を含む広い知識を提供し、理解を深めるお手伝いをしていくため、県として様々な施策を展開しております。その大きな柱が、「とちぎデジタルミュージアム“SHUGYOKU”(珠玉)」、「文化観光拠点施設である栃木県立博物館の魅力度向上」です。
 また、文化観光を楽しむ具体的な旅行商品として、民間事業者と連携し、企画乗車券「日光杉並きっぷ」、「サイクルツーリズム商品」の造成・販売にも取り組んでおります。

「とちぎデジタルミュージアム“SHUGYOKU”(珠玉)」

 栃木県は、古代から人・モノが行き交う交通の要衝として栄え、豊かな自然の恵みとともに、貴重かつ多彩な文化を育んできました。その最も顕著な事例である日光東照宮を包含する世界遺産「日光の社寺」は、国内外で高い知名度を誇り、世界各地から多数の観光客が押し寄せる日本を代表する観光スポットでもあります。

 「とちぎデジタルミュージアム“SHUGYOKU”(珠玉)」は、栃木県の各地域・分野を代表する文化・自然資源をデジタルデータで保存する「とちぎ文化芸術デジタルアーカイブ」から、さらに選りすぐった“珠玉”の逸品を、わかりやすい解説と高精細画像を用い、広く一般公開するものです。

 では、実際に“SHUGYOKU”を活用しながら、世界遺産「日光の社寺」の魅力について説明していきたいと思います。まずは、以下のリンク先から、声優の緑川光さんによる音声ガイドをお聞きください。

世界遺産「日光の社寺」

二荒山神社

東照宮

輪王寺

日光山内

 如何でしたか?煌びやかな建造物群はもとより、その地割りや自然景観との調和、日本の伝統的宗教観である「神仏習合」を現代に伝えるという、極めて重要な歴史的価値に気がつかれたと思います。

 東照宮を目的に参拝に来られた方も、是非、二荒山神社や輪王寺をあわせて訪れていただき、日光山全体の魅力に触れてみてください。
 また、日光二社一寺は、それぞれが貴重な宝物を多数所有しており、それらを宝物館等で公開しておりますが、信仰上の理由や宝物の保護の観点から公開が難しいものも多く、常時鑑賞できるわけではありません。家康公の愛刀として名高い「太刀 銘 助真」(国宝)、勝道上人が用いたと伝わる「鉄錫杖」(重要文化財)、化け物退治伝説の残る「祢々切丸太刀」(重要文化財)・・・歴史的価値のみならず、美術的価値も極めて高い、魅力的な宝物群。現地に足を運んでも目にすることの難しい貴重な文化資源を、世界で唯一、高精細画像にて自由に鑑賞することができるのが、“SHUGYOKU”です。

太刀 銘 助真

鉄錫杖 伝 勝道上人所用

山金造波文蛭巻 大太刀中身無銘(号 祢々切丸太刀)

 他にも、栃木県の誇る国宝・重要文化財、世界的名画など、多種多様な文化資源を鑑賞することができますので、旅の目的地を決める際に、旅行中に目にした文化資源を詳しく知りたくなったときや、帰宅後に栃木訪問を思い返したり、友人とシェアしたりする場面でも、是非ご活用ください。

とちぎデジタルミュージアム“SHUGYOKU”(珠玉)

上記タイトルまたは右の画像を
クリック
して「とちぎデジタルミュージアム”SHUGYOKU”(珠玉)」をご覧ください。

栃木県立博物館

 栃木県立博物館は県庁所在地である宇都宮市の中心部に位置し、県域唯一の総合博物館として、とちぎの自然や文化を一体的に取り扱っており、人文系・自然系あわせて75万点を超える収蔵品を有しています。「水と緑と文化」をテーマとした和洋折衷の回遊式庭園を擁する栃木県中央公園に隣接し、同園とあわせ、県民の憩いの場として広く親しまれております。

栃木県立博物館

栃木県中央公園

 栃木県で最も有名な観光地である「日光」は、日光国立公園と世界遺産「日光の社寺」を擁し、「聖地」「自然の宝庫」「国際観光都市」等多面的な性格を有しております。また、日光市以外にある「仏生寺」(真岡市)や「宇都宮城址」(宇都宮市)、「鹿沼今宮神社祭の屋台行事」や「発光路の強飯式」(いずれも鹿沼市)をはじめ、広い地域に跨がる関連文化資源を持っているため、「日光東照宮だけ」を訪問しても、その価値を深く理解することはできません。栃木県立博物館は、日光の魅力を総合的・広域的に解説できる様々な展示・収蔵資料・専門家を擁する唯一の施設であり、日光を訪問する前または後に来館することにより、日光の歴史文化や自然に関する理解を一層深めることができます。

 では、栃木県立博物館の展示の魅力や、デジタル技術を用いた新たな展示、現在準備中の新コンテンツ等について説明していきたいと思います。

栃木県立博物館の展示解説(音声ガイド

栃木県出身の著名声優、緑川光さん、水沢史絵さんによる音声ガイドです。栃木弁で音声を楽しむこともできます。

テーマ別動画

栃木県の歴史文化・自然に関する動画コンテンツです。“SHUGYOKU”のコンテンツとしてWebにも公開しており、また、博物館講堂の大スクリーンで鑑賞することもできます。 ※不定期実施

デジタルサイネージ

とちぎデジタルミュージアム“SHUGYOKU”(珠玉)掲載の高精細画像や3Dコンテンツ等を、8K相当の高解像度かつ70インチの大画面で鑑賞することができます。 ※学芸員等による操作になります

AR鑑賞

来館者の私有スマートフォン等を用い、栃木県立博物館の展示品に重ねる形で、ARコンテンツを鑑賞することができます。 ムササビやカモシカなど、普段目にする機会のない動物の生態等を擬似的に観察することができます ※館内全館でWi-Fi完備

企画乗車券「日光杉並きっぷ」、「サイクルツーリズム商品」

栃木県は、古代から人・モノが行き交う交通の要衝として栄え、特に江戸時代には、五街道のひとつとして

「日光道中」(現在の日光街道)が日本橋から日光に至るまで整備され、将軍による日光社参や庶民による日光詣等、人の往来や物資の輸送が盛んになり、街道筋は大変賑わいました。

 現在でも、宇都宮市や日光市は首都圏からの好アクセスを誇り、新幹線や私鉄が乗り入れるともに、高速道路網も整備され、観光やビジネスにとって大変利便性の高い地域となっています。

 その一方、日本で唯一特別史跡・特別天然記念物の二重指定を受け、ギネスブックにも掲載されている「日光杉並木街道」をはじめ、往時を偲ぶ文化資源が残る日光街道を通過することなく、日光にダイレクトアクセスしてしまうといった状況が見受けられ、貴重な歴史的景観が知られていないという課題があります。

 そこで、民間事業者と連携し、日光街道を通過するバス路線を用いた乗り降り自由の企画乗車券である「日光杉並きっぷ」と、サイクルツーリズム商品を造成・販売しておりますので、是非ご利用いただき、日光杉並木をはじめとする旧街道の魅力を体験していただければと思います。

日光杉並きっぷ

JR宇都宮駅西口から日光東照宮までの区間内乗り降り自由の企画乗車券(2日間有効)。栃木県立博物館・美術館の入館料減免をはじめ、沿線施設の割引サービスが付帯しています。

サイクルツーリズム商品

県立博物館や日光杉並木を経由する、自転車による旅行商品です。

このページを見ている人が見ているページ

特集一覧へ戻る