温泉研究家が案内。楽しくキレイになる栃木の温泉旅【鬼怒川編】

2022年4月14日

*新型コロナウイルス感染拡大等により、施設の利用人数、定休日、営業時間等について、記載と異なる場合がございます。ご利用検討時は、事前に各施設へお問い合わせください。

自然が豊かな栃木県には、多彩な泉質の温泉があり、600を超える源泉数を誇ります。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する石井宏子さんが、首都圏からのアクセスもよい栃木県で、楽しくキレイになる温泉旅をご紹介します。今回の旅は鬼怒川温泉へ。1泊2日で湯めぐりやグルメ、そして鉄道も楽しみます。

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石井宏子

温泉ビューティ研究家・旅行作家。温泉の美容力を研究する日本でただひとりの温泉ビューティ研究家。旅にでかけて宿に泊まることをライフワークとし、トラベルジャーナリストとして取材・執筆、講演など年の半分は日本・世界を旅する。『全国ごほうびひとり旅温泉手帖』(世界文化社)、『感動の温泉宿 100』(文藝春秋新書)など。

https://www.onsenbeauty.com/

雄大な自然に包まれた「離れの湯 あけび」でゆったり癒される

江戸時代に発見され、日光詣の僧侶や大名だけが入浴を許されていたという鬼怒川温泉。明治時代になって一般にも開放され、箱根や熱海と並んで「東京の奥座敷」と呼ばれる人気の温泉地となりました。

雄大な渓谷の美しさも目を引きますが、まずは温泉から。東武鉄道「鬼怒川温泉駅」の2つ手前の「小佐越駅」で下車し、歩いて15分ほどの場所にある「離れの湯 あけび」へ。

離れの湯 あけび(提供:離れの湯 あけび)

あけびは、鬼怒川渓谷の野趣あふれる森のなかにある日帰り入浴専用の施設で、朝10時から営業しているので旅のスタートにもぴったりです。10の個室貸切露天風呂があり、1時間から10時間まで利用時間を選んで予約できます。今回は1時間利用で立ち寄り湯を楽しみます。

屋根を四方にふきおろしたあずまや風の門をくぐると、空気が一変してそこはもう自然あふれる森のなか。ゆっくり進んでいくと母屋が見えてきます。受付を済ませて、ずらりと並ぶバンガローのような小屋のひとつ「川の湯処」へ。部屋のなかは畳のリビングになっていて寛げる雰囲気です。

鬼怒川の渓流に突き出すように設置された露天風呂は、眼下のエメラルドグリーンを眺める、まさに絶景です。たっぷり注がれた自家源泉でかけ湯をしてから、湯船へどぼん。冷えた体がお湯の温もりに溶けていくようで、「ふぅぅぅ」と思わず声が漏れてしまいます。お湯の温度がぬるめになっているので、大自然のなかでゆっくり浸ってリラックスできます。

泉質は単純温泉。pH7.4の中性で、やわらかな肌触りの癒し湯です。35~38度ほどの源泉がかけ流されていて、ぬるい場合は熱い湯をさし湯して自分好みの温度に調整する仕組みなので、最初はぬるめでゆっくり味わい、最後は熱めに温度を上げてほかほかにと、湯守気分を味わいながら楽しみました。

離れの湯 あけび
住所:栃木県日光市小佐越原19-26
定休日:不定休
営業時間:10:00~23:00
URL:https://www.akebi-onsen.com/
電話:0288-76-0350

穏やかな時間が流れる「カフェ サロン ド テ オカ」で満足ランチ

優しいお湯で程よく体を温めた後は、鬼怒川温泉駅方面に進み、楽しみにしていた「Café Salon de Thé OKA」(カフェ サロン ド テ オカ)でランチを。「カフェ」という名前がついていますが、むしろ隠れ家レストランの雰囲気が漂う人気のお店です。

Café Salon de Thé OKA(カフェ サロン ド テ オカ)

店内にはこだわりのマイセンやロイヤルコペンハーゲンのカップがずらりと並び、笑顔のご主人とマダムが迎えてくれました。

ご夫婦で営む店は、ご主人がつくる洋食と、マダムがつくるスイーツのコンビネーションが名物。お目当ては「とちぎ和牛大田原産ハンバーグランチ」です。

「とちぎ和牛のなかでも、大田原産の牛肉は肉の旨みがしっかりとしてバランスがいいんです。入手困難ともいわれますが、当店では大田原産にこだわって独自のルートで仕入れています」とご主人。それをハンバーグランチで味わえるのですから、とても楽しみです。

店主の福田純一さん、マリエさんご夫妻
とちぎ和牛大田原産ハンバーグランチ

サラダに添えられたオレンジ色の四角いものは、なんと、にんじんのゼリー。とろりとした口どけで、にんじんの甘みが口いっぱいにひろがります。

そして、ハンバーグは驚きの迫力。お肉のぎっしりした食べごたえとジューシーなとちぎ和牛の旨み、デミグラスソースの豊潤な美味しさに感激です。野菜とともにじっくり時間をかけてつくり上げたソースには深い味わいと爽やかさがあります。

「ソースをごはんにかけて召し上がる方もいらっしゃるんですよ」と、スプーンも用意してくださったので、さっそくオン・ザ・ライス。最後まで味わい尽くしました。

この日のデザートは、マダムお手製のキャラメルブランマンジェ。ほどよい甘さとほろ苦い風味が心の隅々まで満たしてくれます。食後のコーヒーはこだわりのマイセンのカップで優雅にいただきました。

Café Salon de Thé OKA(カフェ サロン ド テ オカ)
住所:栃木県日光市鬼怒川温泉滝525
定休日:木曜日、第4水曜日
営業時間:ランチ 11:30~15:00(14:30ラストオーダー) / ディナー 18:30~21:00(20:30ラストオーダー、要予約)
電話:0288-77-0657

鬼怒川で唯一の温泉クアハウス「一心舘」で立ち寄り湯

ホテルにチェックインする前にもう一軒、温泉を味わっておきたいと思い、13時から日帰り入浴が可能になる宿泊施設「一心舘」で立ち寄り湯を。日本健康開発財団監修の一心舘の大浴場は、温泉の入浴効果に、運動とリラックスをプラスして楽しみながら健康になるための「温泉クアハウス」として、日本クアハウス協会の認定を受けています。しかも、鬼怒川で唯一の自家源泉100%という本格派。

一心舘の遊び心あふれるロビー

可愛らしいタイルアートに添えられた「38 / 42」の数字は湯船の温度を表していて、38度のぬるめの寝湯でリラックスしたり、42度の全身浴でリフレッシュしたり、温泉を満喫してくださいという思いが込められているそうです。この宿でしか入れない自家源泉は、加温のみで加水なし。なんと、プールまで自家源泉で満たしているというのですから驚きです。

タイルアートには「38 / 42」の数字が

泉質はpH8.6のアルカリ性単純温泉。せっけんのように肌の汚れや古い角質を落としてくれる美肌の湯です。とろりと肌を包み込む感触に、なんとも言えない幸福感を感じます。全身がつやピカになりました。

一心舘
住所:栃木県日光市鬼怒川温泉滝542-3
営業時間(日帰り入浴):13:00~21:00(最終受付20:00)
URL:https://www.i-spa.co.jp/
電話:0288-77-0008

クラシックとモダンが融合する「鬼怒川金谷ホテル」

由緒正しい温泉地の本質を堪能するため、宿は現存する日本最古のリゾートホテルにルーツを持つ「鬼怒川金谷ホテル」を選びました。モダンと革新を愛し、日本のホテル・旅館の近代化を牽引した鬼怒川温泉ホテル初代社長、ジョン金谷鮮治氏のスピリッツがいまも受け継がれた、鬼怒川を代表するホテルのひとつです。

鬼怒川金谷ホテル(提供:鬼怒川金谷ホテル)

鬼怒川温泉駅から徒歩3分の位置にありながら、一歩立ち入ると日常を忘れる世界が広がります。天井には、天女の舞うスカルプチャードグラスが。壁にかかる流麗な「鬼怒川金谷」の文字は、清朝最後の皇帝の弟で、書家としても有名だった愛新覚羅溥傑氏の手によるもの。このような歴史的な美術品がさりげなく随所に置かれているのも、鬼怒川金谷ホテルらしいおもてなしです。

(提供:鬼怒川金谷ホテル)
ロビーの天井には天女が舞うスカルプチャードグラス

客室には、鬼怒川の渓流がこちらに向かって流れてくる風景を見渡せる、大パノラマのテラスが。雄大な自然に包まれ、清々しいエネルギーを浴びるような気分です。

客室のテラスから眺める渓谷の風景(提供:鬼怒川金谷ホテル)
落ち着いた雰囲気の客室

大浴場には、和の雰囲気を楽しめるクラシックな内湯と、リゾート気分が楽しめる開放的な露天風呂。湯上りにハーブティーをいただきながら、西洋風あずまやのガゼボに腰かけて寛ぐ家族の姿もありました。泉質は、pH9.0のアルカリ性単純温泉。さらりとしたなめらかな肌触りです。

大浴場「古代檜の湯」(提供:鬼怒川金谷ホテル)
大浴場「四季の湯」露天風呂(提供:鬼怒川金谷ホテル)

夕食は、「和敬洋讃」と称される、日本の伝統的な懐石料理とモダンな西洋料理のよさを合わせた「金谷流懐石」をいただきます。季節のあしらいが美しい前菜のひとつには、ジョン金谷鮮治氏と「料理の鉄人」として知られる坂井宏行シェフが考案し、30年以上にわたって愛される「金谷玉子」の姿も。卵の殻のなかに旬の食材の旨味が凝縮された逸品です。

中央が変わらぬ人気を誇る金谷玉子(提供:鬼怒川金谷ホテル)

選べるメインは、季節のおすすめと悩んだ末に和風ビーフシチューを。こちらも鬼怒川金谷ホテルの看板メニューで、特製デミグラスソースとフォンドヴォーを野菜と一緒に3日間煮込み、隠し味に八丁味噌とたまり醤油を加えています。ワインにも日本酒にも合い、パンにもごはんにも合う、王者の風格を感じる味わいです。

ビーフシチュー(提供:鬼怒川金谷ホテル)

最後のお楽しみはスイーツワゴン。ショコラトリー「JOHN KANAYA」のショコラや焼き菓子などをハーブティーと一緒に楽しみ、リゾートの夜は更けていきました。

スイーツワゴン(提供:鬼怒川金谷ホテル)

ギフトショップで感動をお持ち帰り

鬼怒川を満喫して気持ちよく起きた翌朝は、昨夜の感動が忘れられず施設内のショップへ。もう一度味わいたかった「和風ビーフシチュー」と、お造りを引き立てる調味料「特選 煎り酒」、山椒、大葉、はちみつ生姜などの味わいが珍しい「ボンボンショコラ和」をお土産に購入しました。

※現在、ホテル内ギフトショップは宿泊者のみの利用です。オンラインショップはどなたでも利用できます。

鬼怒川金谷ホテル
住所:栃木県日光市鬼怒川温泉大原1394
URL:https://kinugawakanaya.com/
電話:0120-12-9999(予約センター 9:00〜18:00)

勇壮な姿で見る人を魅了するSL大樹

旅の締めくくりに見に行ったのは、2017年に約半世紀ぶりに東武鉄道に復活したSL大樹。

SL大樹

鬼怒川温泉駅前広場の「転車台広場」は、蒸気機関車を間近で見学できる楽しいスポット。一般的な電車と異なり、折り返しの駅に到着すると「転車台」で方向転換して出発します。

転車台で方向転換するSL大樹「ふたら」

客車から切り離されたSL部分が、シュッ、シュッと煙を上げながら転車台へ入ってきます。汽笛を鳴らして蒸気を上げる真っ黒な車体の迫力に、見物客は拍手喝采。

旅の最後まで鬼怒川エリアを満喫

帰りはSL大樹に乗って、鉄道旅を満喫することにしました。SL大樹は、鬼怒川温泉駅から下今市駅までの12.4kmを約35分かけてゆっくりと走ります。

燃料の石炭をくべている様子

車内では、SL大樹の旅の案内をしてくれるアテンダントさんたちが手づくりした、季節ごとの沿線情報が書かれた「アテンダント通信」が配られます。また、2021年から新たに導入された「展望車」には展望デッキが備えられており、レトロで素敵な雰囲気。SLならではの音や煙の香りを感じながら、タイムスリップしたような気分を味わえました。

隠れ家のような貸切温泉や、自家源泉100%の温泉クアハウス、優雅な温泉リゾートと、多彩な温泉を巡り、SL列車で帰路につく。1泊でもたくさんの体験ができた楽しい温泉旅でした。

東武鉄道鬼怒川線「鬼怒川温泉駅」
住所:栃木県日光市鬼怒川温泉大原1390
URL:https://www.tobu.co.jp/sl/

取材・文:石井宏子 写真:サトウタツヲ(NaSuMo)

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